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3150 グリムス 2021年3月期本決算【JEPX高騰影響20億円】

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こんにちは、カツヤマ(@katsu8ma)です!

3150 グリムス が5月14日に2021年3月期の本決算を発表しました。
創業来15期連続の増収となっているが、16期連続に向けての本決算。
2020年末からのLNG(液化天然ガス)供給不足による火力発電所の出力低下を受けて電力市場の電気価格高騰(JEPX)という外部環境の変化が起きたために一度利確しましたが、その後の動向とグリムスが置かれている小売電気状況から再度、打診買いをしております。

それでは早速見て行きましょう、宜しくお願いします。

利確した際の記事はこちら。

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再度打診買いを決めた理由と3Q決算内容についてはこちら。

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目次

本決算の特記事項

各指標の着地状況は、下表の通り。

売上高は何れの事業も成長し躍進。前年同期比で+24.7%は立派な数字。

・ECS事業(エネルギーコストソリューション事業):54.75億円(前期比+23.1%)
・SHP事業(スマートハウスプロジェクト事業):45.83億円(前期比+16.8%)
・小売電気事業:92.52億円(前期比+30.0%)

上記の数字から見ると全体の売上191.11億円のうち、小売電気事業が約50%を占める割合に。

これで売上高は16期連続の増収となりました。

しかし、営業利益・経常利益・純利益ともに3Qで既に通期会社予想を突破していた所からの下落。

2Qの決算説明で田中社長が言われていたようにECS事業とSHP事業はコロナ影響軽微。

理由としては

・コスト削減やエネルギーの効率的な活用を促進する商品・サービスを取り扱い
⇒景気の変動にかかわらず需要は安定

・住宅用太陽光発電システムや蓄電池を販売するスマートハウスプロジェクト事業
⇒催事販売を活用して接客するためコロナ影響を受けるものの、
既存顧客に対するテレマーケティング(電話等)による営業を強化

つまり小売電気事業が今回の決算で一番重要なポイントになりますので過去の考察と結果を踏まえて見て行きます。

小売電気事業

・電力の調達改善を既存顧客へ提案、受注増
⇒2020年9月末時点で契約口数38,365口に対して2Q時点で700口/月の契約増加と説明有り。
単純に3か月分の2,100口増加したと考えると12月末時点で40,465口程度と想定していた。

そのまま3月末で更に2,100口足すと契約口数が約42,500口だが本決算資料を見ると新規契約が+2,000上振れとあるので約45,000口程度まで伸びている可能性がある(契約口数合計は短信でも見つけられなかったので推定です)。

2022年3月期は11,500口の新規契約を目指すというので約56,500口となるのではないか。

電子ブレーカーを中心とした顧客基盤がおよそ49,500件あるので、+αの獲得を狙う姿勢が見える。

他の新電力が電力市場高騰で厳しかった反面、負荷率(※)の低い需要家へ供給するグリムスにとっては追い風か?

(※負荷率は年間消費電力量【kWh】÷(契約電力【kW】×24時間×365日)×100で求める )

・3Q決算内容について一度おさらい

年末からのJEPX価格高騰を受けたものの結果は良好
⇒コロナ影響と7月の梅雨が長引いたことで電力需要減少、電力調達価格低下に繋がった。
12月中旬からのJEPX価格高騰は吸収され、結果的に小売電気事業が全体を押し上げる結果に。

【3Q決算内容】
売上高:64.44億円(前年同期比:27.7%減)
営業利益:12.72億円(前年同期比:41.3%増)

元々、JEPX価格高騰影響が大きいと考えて一度利確したのですが2021年年明けからの株価の動きを確認。

2021年の大発会は上昇(2,350円)したものの、JEPX価格高騰を受けて一時1,482円)まで急低下


参照:ヤフー高機能チャートより引用ー

機関投資家の空売りと信用買いが増えていることから今後の短期的な株価動きは想像出来ない。

但し、JEPX価格高騰は1月ピークで252円/kWh程度を記録したことから4Qに影響が出るはず。

と、3Q時点で考えていました。

では実際どうなったのか推察と結果を交えて記載します。

グリムスの小売電気事業の顧客とJEPX価格高騰影響は?

100V(従量電灯)と200V(低圧電力)の2口あることから99,000契約口がターゲット。

先述した通り、2020年末で40,465口となっていると予想されるため、その前提で考えてみる。

そして2Q決算説明よりグリムスは負荷率(※)の低い需要家への供給・・・2020年3月期実績が9.3%

前提として新電力は負荷率が30%前後の顧客を取れると収益率が高い(2Q決算説明より)。

通常データセンター等の24時間電気使う所の負荷率は60%、スキー場は30%程度。

この顧客を確保している新電力は大ダメージだと思われるが、グリムスの負荷率は10%程度なのが
他社より有利に働いく可能性がある。

ここで四半期単体での小売電気事業についてまとめてみる。

4Qは個人的な考えを纏めてみた。

前提条件
・1月はJEPX価格が高騰したことから平均は70円/kWhで計算。
⇒グリムスは15円/kWhで顧客に電力を小売りしているため-55円/kWhの逆ザヤが発生。

・電力構成として後述しますがJEPXからの調達は全体と6割と仮定。
⇒冬場の対策で相対電源を4割まで引き上げている前提。

本決算資料から見ると冬の相対電源4割と記載があるためここの想定は合っていました。

・顧客単価は月10,000円程度と2Q決算時に説明がある事から10,000÷15≒670kWh/月と仮定。
⇒40,465(契約口数)× 0.6 × 670kWh/月 × -55円/kWh = -8.91億円(赤字)

⇒相対電源分は利ザヤが2円/kWhと仮定すると0.21億円(黒字)程度なので合計-8.70億円と仮定。

⇒本決算資料を見て気付いたのは上記の計算はあくまで全て約定しているケースでの計算。
今回はインバランス料金が発生している部分を考慮していませんでした。
今回20億円の清算が必要だった、という事は次回の検討時に生かしたい。


参照:グリスム2021年3月期決算説明資料より引用ー

・2月と3月は通常通りのJEPX価格と想定(3Q決算後の推察)
⇒先物で仕入れたLNGの供給が絞られると再び高騰する可能性もあるが、
JEPXで需給曲線が公開されていることで過度な高騰リスクは少ないと判断。

・1Qと2Qの中間値で営業利益は約5億円/3か月、2か月分とすると約3.3億円(黒字)

4Qの合計すると小売電気事業としては-8.7億円の赤字と予想、累計では4.02億円の黒字。

【3Q決算後の推察】

上の前提で相対電源とJEPX調達割合を4:6としていますが、1月頭には以下の通り考えていました。

グリムスパワーのHPを見てみると2018年度の電源構成は以下の通りで、8割が市場調達していることが分かり日本卸電力取引所の市場価格高騰影響を受けそうに見えます(実際に2Q決算説明でも7~8割と説明有り)。


参照:グリムスパワー HPより引用ー

前記事と重複する部分が出ますが、このデータだと直近の電源構成が分からないため、グリムスのIRへ2020年1月頭にJEPX価格高騰が電力調達への影響について問い合わせを実施しました。

回答としては、

12月~2月の調達価格については高騰を見込み、計画を立てているが足元の市場価格高騰は想定外
相対電源の比率を高めていることで対策していること、上期での大幅に計画を上回って推移していることから現時点では通期計画を達成見込みとの回答でした。

1月前半の筆者は以下の通り解釈し、利確に踏み切りました。

2Qでコロナ禍影響で電気の市場価格は低迷しており、この年末もコロナ禍影響で電力需要が不明な中で事前に相対電源比率をどこまで増加出来ているか分からなかった事。
※事実、季節によって状況が違うにせよ2018年時点では8割が市場調達のため。

仮に相対電源で半分確保出来ていたとしても残りは市場から購入するわけで、市場価格が落ち着く(LNG供給不足解消)のがいつになるか不透明な状況では現時点で投資継続は困難と判断

火力発電等の出力UPにより1月下旬にはJEPX価格が落ち着いています

当初は2月末まで掛かるのでは?との話もあり、今後もLNG供給不安には注意が必要ですが

将来性を考えると株価は十分低下したと判断して再投資にも踏み切りました。

先述した計算は冬場はJEPXからの調達は6割、相対電源が4割程度まで引き上げている前提です。

2Qでの説明で7~8割がJEPX調達なので1割は上げていると考えました。

そして計算上はコンサバに計算しましたが、小売電気事業は通期で黒字確保出来そうなこと。

正直、通期計画の営業利益23億円に対してはショートする可能性が高いと思います。

他の事業の売上次第にもなりますが、コンサバに見ると営業利益14億円程度。

JEPX価格高騰は過去も短期的にはありましたが、今回の事象を受けて経産省も対策に動くと

思いますし、株価は十分に織り込んだと判断しました(時価総額360億円程度)。

本決算での結果

想定とズレも多分にありますが順にみて行きます。

・小売電気事業は売上高が上振れ
⇒4Q単体で22億円の売上高想定が+6億円の着地。(他社からの乗り換え?)
・営業利益は小売事業部分は想定が大きくズレましたが他事業が強かった。
⇒コンサバな想定だった14.0億円程度に対し、16.5億円で着地。

小売事業部分の大きなズレで考えられる要因としては以下の通り。
・想定よりも売上が伸びている(+6億円)ことから前提の契約口数や負荷率より多かった。
・顧客単価は月10,000円程度と2Q決算時に説明があったが冬場のため実際は多かった。
あとはインバランス料金分のズレが大きそうですが引き続きチェックしていきます。

2022年3月期の業績予想は?(かなり保守的)

2021年3月期は小売電気事業の損失カバーで急ピッチで売上を伸ばした他事業を通常のリードタイム(発注から納品までの時間)にて計画。

グリムスの絶対17期連続増収する、という意気込みが伝わります。

また、今回足を引っ張る形となった小売電気事業については相対電源比率を7割まで上げていくことを計画。

元々、負荷率が低い顧客層がターゲットなので2022年3月期は薄利多売にして確実に黒字を出していく姿勢が見て取れます。

電力市場が安定し、今後また徐々に相対電源比率を下げる場合は利益の振れ幅が大きくなることを念頭にいれておきましょう。



参照:グリスム2021年3月期決算説明資料より引用ー

株式市場では「今後への期待」「直近の市場価格高騰」の天秤で動きますので短期的にはどちらに動くか分かりません。

5月14日のPTSでは1839円(+4.97%)まで買われています。
優良企業であるのは間違いないですが成長期待も買いの要因となっており、今期の小売電気事業は
保守的な相対電源比率計画となっており、他事業での上方修正の可能性がありますが、その点について短期勢にどう見えるのか注目したい所。


参照:ヤフー高機能チャートより引用ー

引き続き、長期で応援を続けながら動向を観察していくとともに決算説明で特記があれば追記していきたいと思う。

~学び続ける人の人生は、常に前向き~



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